弁護士コラム

渋谷の法律事務所の解決事例:交際相手の配偶者から慰謝料330万円を請求された事案において、交際の経緯と裁判実務の相場を軸に交渉し、相手方の250万円の再提示にも上積みすることなく、当初提案どおりの80万円・分割払いの条件で、約2か月で解決した事例

弁護士コラム
目次

【ご相談の概要】

ご相談者は女性で、交際していた男性が既婚者であったことに関して、その配偶者(以下「相手方」といいます。)の代理人弁護士から慰謝料を請求されているとしてご相談にいらっしゃいました。

ご相談者によれば、男性から交際を申し込まれた当初、ご相談者は、既婚者とはお付き合いできないとしてお断りしていました。しかし、男性からは、夫婦関係はうまくいっていないこと、妻には自分への愛情がなく間もなく離婚することになることを繰り返し伝えられ、ご相談者はこれを信じて交際に至ったとのことでした。

相手方の代理人弁護士から届いた通知書は内容証明郵便によるもので、ご相談者が遅くとも数年前から男性と不貞関係にあったとして、慰謝料330万円を通知書の到達から1週間以内に支払うよう求めるものでした。あわせて、成り立ち得ない主張をする場合には直ちに裁判等の法的手続による解決を図る旨も記載されていました。この通知書は、ご相談者がすでに住んでいないご実家宛てに送付されていました。

ご相談者はお若く、330万円はもちろん、まとまった金額を一括で支払える資力はありませんでした。

ご相談者のご要望は、①不貞の事実は認め、相手方に誠実に謝罪すること、②支払額を現実に支払える範囲に抑えること、③一括での支払が難しいため分割払いを認めてもらうこと、④ご実家を含め、相手方から直接連絡が届く状態を止めること、というものでした。

【解決の方針と交渉の経緯】

当事務所の弁護士がご相談者の代理人に就任し、直ちに相手方代理人へ受任通知を送付して、以後の連絡窓口を当職に一本化しました。この受任通知では、相手方の通知書がご相談者の現在の住居ではないご実家に届いていることを指摘したうえで、まずは話し合いによる解決を模索したいこと、仮に訴訟を提起する方針となった場合には事前に送達場所をお伝えすることを申し入れました。ご家族のもとに裁判所の書類が届くといった事態を、初動の段階で防いだものです。

交渉の方針としては、不貞の事実を認め、相手方に深くお詫びしたうえで、争点を「金額の相当性」に絞りました。そのうえで、ご相談者が当初は交際を断っていたこと、男性から婚姻関係がうまくいっておらず間もなく離婚する旨を繰り返し告げられ、これを信じて交際に至ったことなど、交際の経緯を具体的に説明しました。そして、裁判実務上、①不貞の相手方が交際を主導したとはいえないこと、②既婚者側から婚姻関係が破綻に瀕している旨を告げられてこれを信じていたこと、③不貞の事実を認めて真摯に謝罪していることは、いずれも慰謝料額を減らす方向で考慮される事情であること、また、④婚姻関係が離婚に至っていない事案では慰謝料額は相対的に低額にとどまるのが裁判例の傾向であることを指摘し、330万円という請求額は著しく高額であると主張しました。

あわせて、ご相談者がお若く、収入・資力に照らして支払能力が十分ではないことも伝えたうえで、解決金を総額80万円とし、まず50万円を支払い、残額30万円は月10万円ずつ3回の分割で支払うという、実際に履行できる条件を具体的に提案しました。

これに対し相手方は、ご相談者が指摘した事実はなく、本件が発覚するまで夫婦関係は円満であったこと、夫婦関係が悪化したのはひとえに長期間の不貞が原因であり修復困難な状態に至っていること、婚姻関係が継続していることをもって慰謝料を限定的に考えるべきではないことを主張し、当方の提案は到底受け入れられないと回答してきました。そのうえで、訴訟によらない早期解決を前提として、改めて250万円の支払を求めてきました。

当方は、この再提示に対しても金額を一切上積みしませんでした。250万円は裁判基準額を大きく上回るものであり応じられないこと、ご相談者の資力からすれば当初の支払条件の限度でしか支払に応じられないことを回答し、さらに、訴訟を提起されてもやむを得ないと考えていること、仮に訴訟となった場合には男性(相手方の夫)に対して訴訟告知を行う予定であること、送達場所は当事務所とすることを伝えました。

訴訟告知とは、訴訟の結果について利害関係を持つ第三者に、訴訟が係属していることを知らせる手続です。不貞行為は男性とご相談者の共同不法行為であり、ご相談者が支払った慰謝料については、本来、男性に対して負担部分の求償ができます。訴訟告知をしておけば、その判決での判断を前提として男性への求償を進めることができます。婚姻関係を続けている相手方にとって、訴訟に移行すれば夫自身が紛争の当事者として巻き込まれていく展開となります。早期解決を望むと述べていた相手方に対し、訴訟に移行する実益が乏しいことを、法的な手続の見通しとともに示したものです。

【解決の内容】

当方の回答の後、相手方代理人から、当方が当初提案した金額と支払条件をそのまま反映した合意書案が送付されました。当方からは、送金先口座が代理人の預り金口座なのか相手方ご本人の口座なのかを合意書上明確にするよう求めた点のみを修正し、その他は異論がない旨を回答して、合意書の締結に至りました。

合意書の主な内容は、次のとおりです。①ご相談者は、不貞行為により相手方に精神的苦痛を与えたことを認めて謝罪すること、②慰謝料80万円の支払義務を認め、まず50万円を支払い、残額30万円を翌月から月10万円ずつ3回に分けて支払うこと、③分割金の不払いが20万円に達した場合に限り期限の利益を失うこと、④ご相談者は男性に対する求償権を放棄すること、⑤ご相談者は相手方及びそのお子様に接触・連絡しないこと、⑥本合意書に定めるほかに何らの債権債務がないことを相互に確認すること(清算条項)。違約金を伴う条項は設けられていません。

当初請求額330万円からの250万円、率にして約76%の減額です。相手方が一度は250万円を求めた後でも、当方の当初提案から金額・支払条件のいずれも上積みすることなく合意に至りました。訴訟に移行することなく、受任から約2か月での解決です。

【良い解決を実現できたポイント】

① 初動で、通知書の送付先の問題に対処したこと。相手方の通知書は、ご相談者がすでに住んでいないご実家に届いていました。受任通知で連絡窓口を一本化するとともに、訴訟の場合には事前に送達場所を伝えると申し入れたことで、ご家族に書類が届き続ける事態を防ぎ、ご相談者が落ち着いて方針を検討できる状況をつくりました。

② 認めるべきところは認め、交際の経緯を具体的に伝えたこと。不貞の事実そのものを争うのではなく、謝罪したうえで、ご相談者が当初は交際を断っていたこと、男性から「間もなく離婚する」と繰り返し告げられていたことを具体的に示しました。これにより、争点を「金額がいくらであるべきか」に絞り込むことができました。

③ 支払える金額と支払える方法を、最初から具体的に示したこと。資力に余裕のない方の場合、合意しても支払が続かなければ、かえって紛争が蒸し返されます。頭金と分割回数まで含めた現実的な条件を最初に提示したことで、相手方にとっても「確実に回収できる解決」として検討しやすい提案となりました。

④ 再提示に対して上積みせず、訴訟になった場合の見通しを示したこと。相手方からは250万円の再提示がありましたが、当方は金額を一切動かしませんでした。そのうえで、訴訟になった場合には男性に訴訟告知を行う予定であることを伝え、婚姻関係を継続している相手方にとって訴訟に移行する実益が乏しいことを示しました。交渉の途中で譲歩を重ねるのではなく、最初に合理的な水準を示してそれを維持したことが、当初提案どおりの合意につながりました。

なお、本件は当事務所が受任した事案における結果であり、慰謝料の減額幅は個々の事情によって大きく異なります。もっとも、相手方から届いた通知書の金額が、そのまま裁判所で認められる金額であるとは限りません。また、一括で支払えない場合でも、分割払いを前提とした解決が可能な場合があります。

交際相手の配偶者から慰謝料を請求されてお困りの方、ご実家や勤務先に通知書が届いてしまった方、支払える金額に限りがありお悩みの方は、示談書に署名される前に、渋谷に所在する馬場綜合法律事務所までお気軽にご相談ください。

初回相談は無料です。お気軽にご相談ください。

一覧に戻る
背景画像

Contact セクションタイトル

お問い合わせ

離婚の不安や悩みを
少しだけ話してみませんか?

話す前より、話した後の方が少し楽になる。
そのお手伝いをするために、弁護士がいます。
初回相談30分無料です。
オンライン相談可能、土日·祝日·平日夜間も
ご相談いただけます。(事前相談必須)

03-6427-2036

平日10:00~19:00

目次