弁護士コラム

不貞相手の子からの慰謝料400万円の請求に対し、判例法理に基づき毅然と拒絶し、勤務先への告知等の予告にも対応のうえ、支払額0円で解決した事例

相談事例

ご相談の概要

ご相談者は男性で、過去の不貞行為に関連して、不貞相手の子(成人)の代理人弁護士から、慰謝料400万円の支払を求める通知を受けたとのことでご相談にいらっしゃいました。

通知の内容は、ご相談者と不貞相手との長年にわたる不貞行為により、その子である相手方が多大な精神的苦痛を受けて精神疾患を発症したなどとして、子固有の権利に基づく慰謝料を請求するというものでした。

なお、本件の不貞行為をめぐっては、不貞相手の配偶者との間で既に示談が成立しており、清算条項により当事者間の紛争は解決済みとなっていました。

さらに相手方代理人からは、請求に応じない場合には、

①訴訟を提起したうえでご相談者の配偶者を証人として召喚する、②ご相談者の勤務先に本件紛争の存在等を告知する、③報道機関や外部の機関への情報提供を行う、といったことを予告する書面が届いており、ご相談者は、ご家庭や職場への影響を強く懸念されていました。

ご相談者のご要望は、①法的に理由のない請求には一切応じないこと、②勤務先や外部への告知・暴露を阻止すること、③ご家庭と社会生活の平穏を守ること、というものでした。

解決の方針と交渉の経緯

当事務所の弁護士がご相談者の代理人に就任し、相手方代理人との連絡窓口を当職に一本化しました。

まず、法的な反論の柱として、現在の裁判実務上、不貞行為を理由とする慰謝料請求が認められる権利主体は不貞をされた他方配偶者のみであり、最高裁判例(最判昭和54年3月30日)に照らし、不貞相手の子からの慰謝料請求は特段の事情のない限り認められないことを指摘しました。あわせて、本件では不貞相手の配偶者との間で清算条項を含む示談が既に成立していることも踏まえ、慰謝料請求には一切応じられない旨を書面で明確に回答しました。

また、勤務先への告知や報道機関等への情報提供の予告に対しては、かかる行為が名誉毀損(民法709条、710条)及びプライバシー侵害に該当する可能性が極めて高いこと、仮に実行された場合には、相手方本人のみならず、これに関与した代理人弁護士自身も損害賠償責任を負い得ること、弁護士法や弁護士職務基本規程の定める守秘義務等の観点からも問題があることを、判例・文献を踏まえて具体的に指摘し、厳に差し控えるよう強く警告しました。

そのうえで、どのような事情があっても金銭の支払には一切応じないという方針を書面で明確に伝えるとともに、訴訟提起の場合の送達場所を当事務所とすることまで指定し、訴訟になっても徹底して受けて立つ姿勢を示しました。

解決の内容

当方の最終回答書面の送付後、相手方からの連絡は一切なくなり、4か月が経過した時点で、相手方の請求をすべて退けたものとして案件を終了しました。ご相談者が相手方に支払った金銭は0円であり、懸念されていた勤務先への告知や外部への情報提供が実行されることもなく、ご相談者の職場・ご家庭の平穏を守ることができました。

また、案件終了にあたっては、万一、消滅時効の期間内に相手方が同一の事実関係に基づく請求を蒸し返した場合には、追加の弁護士費用なく引き続き対応する旨をお約束し、ご相談者が将来にわたって安心できる形で終了処理を行いました。

良い解決を実現できたポイント

① 判例法理に基づく明確な反論を行ったこと。感情的な応酬に陥ることなく、不貞慰謝料の権利主体に関する最高裁判例や裁判実務の到達点を踏まえ、本件請求が裁判で認容される見込みが皆無であることを論理的に示したことが、相手方の請求断念につながりました。

② 「支払額0円」の方針を貫いたこと。高圧的な予告を受けると、穏便に済ませるために解決金を支払ってしまう選択も考えられがちですが、法的に理由のない請求に安易に応じることは、かえって更なる請求を招くおそれもあります。本件では、一切支払わないという方針を明確にし、毅然とした対応を貫きました。

③ 勤務先への告知等の予告に対し、法的リスクを具体的に警告したこと。告知・暴露行為が名誉毀損・プライバシー侵害を構成し、相手方本人だけでなくその代理人弁護士自身の損害賠償責任にも発展し得ることを具体的に指摘したことで、実行を事前に抑止することができました。

④ 訴訟も受けて立つ姿勢を明確にしたこと。送達場所の指定まで行い、訴訟になっても徹底的に争う準備があることを示したことが、相手方に請求を断念させる大きな要因となりました。

⑤ 終了後のフォロー体制まで整えたこと。時効期間内に請求が蒸し返された場合の対応方針まで定めたうえで終了処理を行い、ご相談者の将来への不安を解消しました。

不貞行為をめぐって法的に理由のない慰謝料請求を受けてお困りの方、「勤務先に知らせる」「報道機関に情報提供する」といった告知・暴露の予告を受けてお悩みの方は、渋谷に所在する馬場綜合法律事務所までお気軽にご相談ください。

初回30分無料です。お気軽にどうぞ!

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