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子どもの親権

離婚に際して、最も感情的な対立を引き起こしやすい問題の一つが「子どもの親権」に関することです。特に未成年の子どもがいる場合、どちらが親権を持つかは、子どもの将来や福祉に大きな影響を与えます。
ここでは、親権の基本的な考え方や、判断基準、実務上の注意点などについて、弁護士の視点から解説します。

親権とは何か

親権とは、未成年の子どもを監護養育し、その財産を管理し、法律行為を代理する法的な権利・義務のことをいいます。

身上監護権

身上監護権

子どもと一緒に生活し、教育・しつけ・医療などを含めて日常生活の管理を行う権利義務

財産管理権

財産管理権

子どもの財産の管理や法律行為の代理を行うもの

離婚時における親権の決定

親権者

どちらか一方が親権者となる

日本の現在の法制度の下では、原則として、離婚後に父母の双方が共同で親権を行うことは認められておらず、どちらか一方が親権者とならなければなりません。なお、2026年5月26日以降、一定の要件を備えた場合に共同親権を認める制度が施行されます。

協議

協議で決まらない場合

協議離婚であっても、親権者を指定しなければ離婚届は受理されません。協議で決まらない場合は、家庭裁判所の調停または審判・訴訟手続きで親権者が決定されます。

親権の判断基準

裁判所が親権者を判断する際の基準として、以下のような点が重視されます。

監護の実績と継続性

親権者

従前、主として子どもの監護養育を担当してきた者が優先される傾向にあり、子どもにとって安定した生活環境が守られることが重要です。

養育能力

養育能力

経済的基盤だけでなく、精神的安定性、育児への理解と熱意、生活の安定性など、総合的な能力が評価されます。

子の意思

子の意思

一定の年齢(おおむね10歳以上)に達している子どもの意思も、重要な判断材料となります。

兄弟姉妹の不分離

兄弟姉妹

兄弟姉妹がいる場合、できる限り一緒に生活させるべきとの原則があります。

父母の協力度

父母の協力度

非親権者となった親との面会交流を適切に実施できるかも、子の福祉にとって重要です。

調停・審判における対応

調停・審判における対応

親権を巡る争いでは、単なる感情論ではなく、客観的な事実に基づいた主張と証拠の提示が求められます。
家庭裁判所では、調査官調査や面談、子の意向聴取なども行われる場合があり、専門的な対応が必要です。弁護士を通じて主張の整理や証拠の準備を行うことで、裁判所の理解を得やすくなります。

親権は、親の権利というより、子どもの福祉を守るための責任です。その意味でも、離婚後の親子関係をどう維持するかを冷静に見つめ、子どもにとって最善の選択をすることが求められます。
争いを長期化させることなく、建設的な話し合いを通じて解決を目指すことが肝要です。もし親権についてお悩みがある場合は、早めに専門家である弁護士にご相談ください。

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