COLUMN

高額の不貞慰謝料等を請求されたが、低額(60万円)で裁判上の和解が成立した事例

2024年7月18日

ご相談の概要

1 30代女性Aさんからの不貞慰謝料請求で訴訟提起をされたという旨のご相談がありました。
ご相談内容としては、現在、Aさんは、男性Bさんと交際しているが、Bさんの法律婚の妻であるCさんから、

  • ①不貞慰謝料350万円
  • ②探偵の調査費用46万円
  • ③弁護士費用等
  • その他の損害額として合計額463万円

の損害賠償請求する旨の訴訟提起を受けたというものでした。

2 ご依頼者であるAさんに事実関係を確認したところ、次の内容の事実関係であることが分かりました。

  • ① 男性Bさんと妻Cさんは、令和元年12月時点で、お互いに離婚協議書を代わしつつ、離婚協議をしていたが、財産分与や養育費の点で話し合いがまとまらず、協議離婚は成立しなかった。しかしながら、離婚すること自体には、双方、異論が無かった。
  • ② その後、男性Bさんと妻Cさんは、令和2年2月初旬頃に別居をした。
  • ③ Aさんは、令和2年5月頃から、男性Bさんと仲良くなり、ある程度、頻繫に交友するようになった。
  • ④ その後、令和2年12月頃、Aさんは、男性Bさんと男女としての交際を開始するに至った。
  • ⑤ 令和3年2月上旬頃、Aさんは、男性Bさんとの同居を開始した。
  • ⑥ 令和3年2月下旬頃、Cさんと男性Bさんとの間で、婚姻費用調停及び離婚調停が開始された。
  • ⑦ その後、Cさんは、自身が原告となり、男性Bさん及び女性Aさんを被告として、不貞慰謝料など合計額436万円の損害賠償を求めて訴訟提起をした。

3 弊所の弁護士が女性Aさんの訴訟代理人弁護士として、裁判対応をすることになりました。また、男性Bさんの訴訟代理人は、提携している法律事務所の弁護士が担当し、緊密な連携を取り合って共同して訴訟対応をしました。

解決の内容

1 前述のとおり、弊所の弁護士は、Aさんの訴訟代理人弁護士として裁判対応をしました。
2 当方の主張は、

  • ①Cさんと男性Bさんが別居をした時点である令和2年2月上旬頃の時点で両者の婚姻関係は破綻しており、不貞慰謝料は一切発生しないこと
  • ②仮に、婚姻関係が破綻していなかったとしても、Aさんが男性Bさんと交際を開始した令和2年12月時点では、Cさんと男性Bさんとの婚姻関係は著しく悪化していたこと
  • から、不貞慰謝料の金額は低額にとどまるべきであるという主張を行いました。

3 また、要旨次の内容の類似裁判例を見つけました。
すなわち、

①夫と妻が別居し、その後、②夫と妻が離婚協議書を代わしつつ離婚協議を行っていた場合には、
②の時点で夫婦の婚姻関係は破綻しており、その時点以降に、夫が他の女性と交際していたとしても、不貞行為には該当せず、不貞慰謝料の支払義務も発生しない

という判断をした裁判例がありました(平成25年1月22日東京地方裁判所判決/平成24年(ワ)74号)。
本件では、こちらの裁判例を援用しつつ、当方の主張の正当性を裁判所に対し訴えかけました。

4 相手方であるCさん側とは和解による解決も模索しましたが、折り合いがつかず、判決となりました。第1審の判決では、裁判所は、

  • ①不貞慰謝料として120万円
  • ②探偵の調査費用の損害として46万円
  • ③その他の損害として17万円程度を認定

Aさん及びBさんに対し、合計額183万円の損害賠償支払義務を認定しました。

5 ご依頼者であるAさんと協議したところ、第1審の判決の内容には強い不服があるということになり、東京高等裁判所へ控訴しました。

6 控訴審では、裁判例を引用しつつ、

  • ①探偵の調査費用を認定することは不当な認定であること
  • ②本件では男性BさんとCさんが別居を開始した時点で夫婦関係が破綻していると考えられること

などを粘り強く主張しました。
そうしたところ、最終的には、Aさん及びBさんが連帯して、Cさんに対し、解決金として60万円を支払うという内容で、裁判上の和解が成立しました。相手方であるCさんの請求額は436万円でしたので、大幅な減額を実現できました。

良い解決を実現できたポイント

良い解決となったポイントは、次の①~③の点にあったと考えています。

  • ①ご依頼者であるAさんと丁寧な打ち合わせをしつつ、粘り強い裁判対応をしたこと。
  • ②共同被告である男性Bさんとも共同戦線を張り、また、相性及び実績が抜群の提携弁護士の先生ともタッグを組んで密接かつ強力に連携しつつ訴訟対応を行ったこと。
  • ③ただ単に当方の主張を述べるのではなく、証拠や裁判例などの論拠に基づいた主張を行ったこと。

男女関係トラブルでは、交際中の男女が共同被告として訴えられたりすることも多いです。そのような内容のご相談がございましたら、是非、弊所へお問い合わせください。