婚姻関係にある夫婦の一方が、他方に対して生活費の分担を求めることができる「婚姻費用」や、離婚後の子どもの生活を支える「養育費」は、家族法における重要な制度です。これらの費用は、当事者間で話し合いによって定めることもありますが、協議がまとまらない場合には家庭裁判所において具体的な金額を定めることができます。
婚姻費用の意義と算定
婚姻費用とは
夫婦とその未成熟子の共同生活を維持するために必要な費用を指し、民法760条に基づいて、その分担が義務付けられています。
婚姻費用の算定
一般には、収入が高い方が低い方に対して、収入差に応じた費用を支払うことになります。具体的な金額については、裁判所が公表している「算定表」を参考に定められることが多く、標準的な生活を前提とした金額が目安となります。
養育費の意義と基本的な考え方
養育費とは
未成年の子どもが社会的・経済的に自立するまでの間、その生活や教育を支えるために必要な費用です。
養育費の算定
養育費もまた、父母双方の収入や生活状況、子どもの年齢・人数などを踏まえて、「養育費算定表」により一定の目安が示されていますが、事情に応じて個別に調整されることもあります。
調停・審判による解決
婚姻費用や養育費を巡って協議が整わない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てることが可能です。調停が不成立となった場合には、審判手続により裁判所が金額を決定します。
特に婚姻費用は、早期に決定されることが望まれるため、調停に先立ち仮の支払を求める審判前の保全処分を申し立てることも考えられます。
強制執行と不払いへの対応
調停や審判で定められた婚姻費用・養育費について、相手方が支払わない場合には、強制執行手続をとることが可能です。
この場合、給与や預貯金に対して差押えを行うことができるため、弁護士を通じて適切な手続きを進めることが重要です。
弁護士に依頼するメリット
専門的知識により依頼者の権利を守る
婚姻費用や養育費に関する法的知識を有し、適切な金額の算出や証拠の提出を通じて、依頼者の権利を守ります。
一貫した対応が可能
相手方との交渉や調停手続、さらには強制執行に至るまで、一貫した対応が可能であり、ご自身だけでは対応しきれない複雑な局面においても安心して任せることができます。
婚姻費用や養育費は、生活の安定と子どもの健やかな成長のために不可欠な制度です。金額や支払方法でトラブルになることも少なくありませんが、早期に専門家へ相談することで、より良い解決への道が開けます。特に、養育費は、子どもが20歳又は大学卒業時までの間、支払が継続するものであり、数万円の金額の差異が長期的には、大きな経済効果の違いをもたらし得るものです。専門家たる弁護士と協議しつつ、婚姻費用・養育費の問題を解決することで大きな不利益を被るリスクを防止できます。経済的な不安を解消し、新たな一歩を踏み出すためにも、ぜひ一度弁護士へのご相談をご検討ください。