離婚コラム

養育費の支払状況に関する統計データについて

はじめに

養育費とは、離婚後に未成年の子を扶養する親が、他方の親に対して求めることができる生活費の一部です。しかしながら、離婚後に養育費が実際に支払われている割合は決して高くはありません。厚生労働省が実施した「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」によれば、養育費に関する厳しい現実が明らかになっています。

養育費に関する統計データ

下記は、養育費に関する各種の統計データをまとめた表です(令和3年度全国ひとり親世帯等調査より抜粋)。

指標 母子世帯 父子世帯
養育費の取り決めあり 46.7% 28.3%
現在受給中 28.1% 8.7%
取り決め済世帯中の受給率 57.7% 25.9%
過去受給経験のある母子世帯 約42.5%
長期の受領率推移
(2003〜2021年)
17.7% → 28.1%

上記のとおり、「現在も養育費を受け取っている」と回答した世帯は、母子世帯で28.1%、父子世帯ではわずか8.7%にとどまっています。つまり、実に7割以上の母子世帯、9割以上の父子世帯が、現時点で養育費が支払われていないということになります。

また、養育費の支払いについて何らかの取り決めがある世帯は、母子世帯で46.7%、父子世帯で28.3%と報告されています。取り決めがあったとしても、実際に受給できている割合はそれよりも大きく下回っており、養育費の取り決めがなされていても、実際には養育費が支払われていないという現実が浮かび上がります。

さらに、母子世帯の約42.5%が一度は養育費を受け取った経験があるとされているものの、現在も継続して養育費を受給している割合は28.1%に過ぎず、養育費の継続的な支払い確保が大きな課題であることがうかがえます。

厚生労働省の調査によると、養育費の受給率は、2003年時点で17.7%、2006年で19.0%、2011年で19.7%、2016年で24.3%、そして2021年で28.1%と推移しており、徐々に改善傾向にはあるものの、依然として十分な水準とはいえません。

養育費の法的な手段と手続き

養育費の支払いを確保するためには、適切な法的手続きをとることが重要です。養育費の取り決めがない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てることで、取り決めを行うことが可能です。また、裁判手続を利用しない場合でも、公正証書により、養育費の取り決めを行うことで、より法的な効力の高い合意を行うことが可能です。養育費の取り決めの段階から、弁護士が関与することにより、その後の養育費の不払いの予防にもつながります。

既に取り決めがあるにもかかわらず支払いが行われていない場合には、家庭裁判所に履行勧告や履行命令を申し立てることができます。さらに、確定判決や調停調書、和解調書がある場合には、相手方の財産に対する強制執行(給与・預金・不動産の差押え等)を行うことも可能です。

養育費が払われないときは弁護士にご相談を!

養育費に関する問題は、相手方との関係や法的手続きの煩雑さから、当事者だけで対応するのが難しい場面も少なくありません。そのような場合には、弁護士に相談・依頼することで、的確かつ迅速な対応が可能となります。

弁護士は、調停の申立書や強制執行申立書などの書類作成を行い、裁判所への提出、期日の出席、相手方との交渉も代理します。また、相手方の資産調査や差押えの実施に関しても、経験と専門知識に基づいた実践的な対応が期待できます。

まとめ

養育費の支払いは、子どもの生活の安定と健やかな成長に直結する極めて重要な問題です。にもかかわらず、多くのひとり親家庭が支払いを受けられていない現状に照らせば、適切な法的対応を通じてその権利を確保することが求められます。

当事務所では、養育費に関する豊富な経験を有する弁護士が在籍しており、調停・訴訟・強制執行まで一貫してサポートいたします。泣き寝入りすることなく、まずはお気軽にご相談ください。早期の対応が、将来の不安を取り除く第一歩となります。

この記事を書いた人

馬場 洋尚
(ばば ひろなお)

東京都出身。
令和元年12月、渋谷駅付近で馬場綜合法律事務所を開設。
法的問題の最良の解決を理念とし、離婚、相続、遺言、一般民事、企業法務など幅広く手がけています。その中でも離婚・男女問題には特に注力して活動しています。ご依頼者の方と密接なコミュニケーションを取りつつ、ひとつ一つのご案件に丁寧に接することを心掛けています。

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